2020年6月8日 (月)
熊本県熊本市東区桜木にあります歯医者せき歯科クリニックから事務長です(#^.^#)
さて今回は院内技工シリーズから『メタルボンドクラウン』です。
まずはおなじみ精密シリコン印象(画像は省きます)
次に内側の金属部分を作って行く為にワックス(蝋)で形を作っていきます。
メタルボンドクラウンでは内側の金属の外にセラミックを盛るという構造になる為、理想的な形を作った後にセラミックの分だけ削り取っていくという作業になります。
完成後の強度にもかかわって来るのでデザインや厚みなど細心の注意が必要です。
当医院の金属部分の設計も勉強会や試行錯誤から、見た目や強度のバランスを考え今はこの形に至っています。
鋳造して研磨して内側の金属が出来上がったところです。
そこにセラミックの粉を盛り上げていき何度も焼いて色形共に仕上げていきます。
金属にきちんと定着する特殊なセラミックを使っています。
また、オールセラミックとは違い内側が金属なために透過性がありません。
そこで、暗い色を使ったりして疑似的に透明に見えるような特殊な色使いをして、トリックアートの様に透けているように見せたりします。
最終焼き上げをして研磨すると出来上がりです。
金属とセラミックで膨張率が違ったり温度管理がうまくいかないと変形したり、金属からガスが出てセラミック部分に悪さしたりなかなか神経質な所のある材料です。
以前はオールセラミックよりも強度が強く値段も抑えられた為、特に臼歯部(奥歯)では多く使われていました。
今では以前のセラミックより強度のあるフルジルコニアが出てきた事もあり、取り扱いをやめてしまう病院もあります。
しかし、インプラントの上部には相性が良かったり、院内技工の当医院では技工士が直接患者さんの口で色や形を確認できるという強みもあり、まだまだ現役で根強く残っています。
今、人間の仕事はロボットに代わってきています。
芸術の世界でもAIが手塚治虫の新作キャラを書いたり、目覚ましい発展を遂げているロボット・AI業界ですが、まだまだ技工の世界では人の方が勝っているのが現状です。
ロボットによる削り出しマシンや3Dプリンターもありますがまだまだ精密さに欠けています。
ロボットの部分と人の手による精密な仕上げ部分をうまく使ってバランスよく分業していく事で良いものができると思います。
4月から、福岡でそのロボットを使っている大きな技工所で働いていた技工士が新たに入社しました。
同じ機械でも個々で癖があり同じ設定では良いものが出来ません。天気や湿度などで左右されたりもします。
結局のところ良い機械も操作する人間の力量が左右するのです。
良いものを、人間も進化しながら導入発展していこうと考えておりますので、これからもよろしくお願いいたします。