2020年7月17日 (金)
熊本県熊本市東区桜木にある歯医者せき歯科クリニックから
こんにちは事務長です。
『院内技工』『院内技工』と言って、歯周病治療の大切さからセラミック等の作り方を発信してきましたが、実は一番大切なピースを忘れていた事に気付きましたのでお伝えします。
それは院長です…(^-^;
院内技工で技工士が皆様の新しい歯を作りますが、そこでなぜ院長が重要となるのかというと、院長がゴールを設定しているからです。
患者さんのお口の中を十分に把握し、今まで勉強した事、経験、研修会、先輩医師の助言などをフルに使ってお口の中全体のゴールを設定します。
はっきり言いますと、出来ない歯科医師は1本の歯しか見ていません。全体の口腔状態を把握できず1本の歯の治療しかできません。その1本を治療して満足してしまいます。
それでは後々他の歯に不具合が出て来たり、全体の崩壊を止める事が出来ず、せっかく治した歯を失ったりしてしまいます。
当クリニックの院長は、世界的に会員が多数いるSJCDという勉強会のグループに所属し、熊本県の理事をしています。
考えが一つに固まらない様にその他にもあすか会という勉強会の会長をしたり、顎咬合学会や歯周病学会、インプラント学会など様々な学会にも所属し、常に進化し最新の治療を追い求めています。
弟である私が言うのもなんですが、超勉強熱心です。勉強会グループの中でも1番と言える勉強熱心です。
まあ、歯科治療が本当に好きなんでしょう。。。
全国の顎咬合学会での発表では優秀発表賞も頂き、コロナが無ければ今年行われるはずだったSJCDの全国大会の熊本代表の発表者にも選ばれています。
かといって大学の研究者の様に研究ばかりではなく、治療を生かして発表して、発表を生かして治療をしてどちらも常に進化をしています。
そんな院長が設定したゴールがあるからこそ、受付はバランスよく予約を取り、助手は患者さんに寄り添い最善の治療を提案し、衛生士は歯周病をしっかり治し患者さんのブラッシング力を向上して、技工士は全体のバランスを考えた補綴物を作り、ドクターが治療計画から仕上げを行うというチーム医療が完成するのです。
建物や診療台などははだんだん古くなってきていますが、中身の診療は常に進化し続けています。
機械なども予算の許す限り最新の治療に必要なものを揃えていっています。
院長が『まだまだ僕よりすごい先生がいっぱいいる。僕はまだまだだ。』と言っているうちは、良い治療を提供し、進化し続ける事が出来ると確信しています。
『もうこれで良いかな』と思ってる人からはこんな言葉は出てきませんから…
2020年6月8日 (月)
熊本県熊本市東区桜木にあります歯医者せき歯科クリニックから事務長です(#^.^#)
さて今回は院内技工シリーズから『メタルボンドクラウン』です。
まずはおなじみ精密シリコン印象(画像は省きます)
次に内側の金属部分を作って行く為にワックス(蝋)で形を作っていきます。
メタルボンドクラウンでは内側の金属の外にセラミックを盛るという構造になる為、理想的な形を作った後にセラミックの分だけ削り取っていくという作業になります。
完成後の強度にもかかわって来るのでデザインや厚みなど細心の注意が必要です。
当医院の金属部分の設計も勉強会や試行錯誤から、見た目や強度のバランスを考え今はこの形に至っています。
鋳造して研磨して内側の金属が出来上がったところです。
そこにセラミックの粉を盛り上げていき何度も焼いて色形共に仕上げていきます。
金属にきちんと定着する特殊なセラミックを使っています。
また、オールセラミックとは違い内側が金属なために透過性がありません。
そこで、暗い色を使ったりして疑似的に透明に見えるような特殊な色使いをして、トリックアートの様に透けているように見せたりします。
最終焼き上げをして研磨すると出来上がりです。
金属とセラミックで膨張率が違ったり温度管理がうまくいかないと変形したり、金属からガスが出てセラミック部分に悪さしたりなかなか神経質な所のある材料です。
以前はオールセラミックよりも強度が強く値段も抑えられた為、特に臼歯部(奥歯)では多く使われていました。
今では以前のセラミックより強度のあるフルジルコニアが出てきた事もあり、取り扱いをやめてしまう病院もあります。
しかし、インプラントの上部には相性が良かったり、院内技工の当医院では技工士が直接患者さんの口で色や形を確認できるという強みもあり、まだまだ現役で根強く残っています。
今、人間の仕事はロボットに代わってきています。
芸術の世界でもAIが手塚治虫の新作キャラを書いたり、目覚ましい発展を遂げているロボット・AI業界ですが、まだまだ技工の世界では人の方が勝っているのが現状です。
ロボットによる削り出しマシンや3Dプリンターもありますがまだまだ精密さに欠けています。
ロボットの部分と人の手による精密な仕上げ部分をうまく使ってバランスよく分業していく事で良いものができると思います。
4月から、福岡でそのロボットを使っている大きな技工所で働いていた技工士が新たに入社しました。
同じ機械でも個々で癖があり同じ設定では良いものが出来ません。天気や湿度などで左右されたりもします。
結局のところ良い機械も操作する人間の力量が左右するのです。
良いものを、人間も進化しながら導入発展していこうと考えておりますので、これからもよろしくお願いいたします。
2020年4月1日 (水)
熊本県熊本市東区桜木にありますせき歯科クリニックから事務長です。
新型コロナウイルスが猛威を振るい、大変な日々をお過ごしと思いますがいかがお過ごしでしょうか??
患者さんからも『コロナ大変だろ??』という声をかけて頂きます。
実は歯科医院はやってる事はほとんど変わりません。エイズだったり肝炎だったり歯科医院で感染する可能性があるものは普段から対策をしているのでコロナウイルスだろうと診療に関してはやっている事は全く同じです。
少し変わったのは待合室で、
こちらも普段から資格を持った感染予防のクリーニング・床ワックスを行っておりますが、プラスして入ってすぐに手指消毒用のスプレーを配置し受付の私がマスクを着用する様になりました。また待合室での密接を避ける為にお車での待機も開始しました。本当は広くとった方が良いのですが物理的に不可能なため、お車で来られている方でご希望の方はお車でお待ちいただけます。
さて、今回は院内技工シリーズのe-maxインレーの作り方です。
セラミックの陶材を金属の様にとかして型にプレスして作るe-maxですが、保険の銀歯の2倍選ばれています。
具体的に言いますと、令和2年2月分で保険の銀歯17本e-max33本です。
まずはおなじみになりつつある精密印象(型どり)から模型作りです。模型作りは技工士の性格が出ます。綺麗に作らないと良いものはできません。
出来の悪い技工士が作ると模型自体も汚れたり変形したりしますし、まわりのテーブルや服も石膏だらけになります。
次がワックスアップです。患者さんの歯と同じ形の模型にワックス(蝋)で詰め物を作っていきます。
拡大鏡を作って、歯と詰め物の間に隙間ができない様に精密に作っていきます。
咬合器で疑似的な噛み合わせを作って何度も何度も形を調整していき理想的な噛み合わせを作っていきます。
出来上がったワックスは模型から外して、埋没材というものに埋めます。
埋没材が固まったら、熱してワックスを蒸発させます。
すると埋没材の中にワックスと全く同じ空間ができます。
そこにe-maxという機械で特殊な陶材ブロックを溶かして圧縮プレスして流し込み固めます。
すると、ワックスと同じ形の陶器の詰め物が出来てきます。
それをバリをとったり調整研磨をして仕上げて出来上がりです。
毎日技工室に行って話をしたりして思う事があります。
『こいつ変態なんじゃないか??』(^-^;
もしかして、作った歯を見ながらそれをおかずに白いご飯食べてるんじゃないか…
まぁ笑い話ですが、技工士は本当に精密で根気がいる仕事です。歯を作るのが本当に好きでこだわっている変態ぐらいがちょうど良いのかもしれません。
もちろん、変態じゃなくて好青年ですよ!(^^)!
ではまた。
2020年2月27日 (木)
熊本県熊本市東区桜木にある歯医者せき歯科クリニックから事務長です(#^.^#)
さて院内技工シリーズですが、今回からいよいよ補綴物の製造工程の紹介です!(^^)!
まずはやはりオールセラミックからです。
オールセラミック…つまり全部がセラミック(陶器)で出来ている補綴物です。
保険のクラウンは金属もしくはレジン(プラスチック)で出来ています。実はプラスチックは水分を非常に多く吸収します。そして傷付きやすい素材です。プラスチックのお皿と陶器のお皿で比べてみるとわかり易いと思いますが、プラスチックのお皿は使う毎に傷が付き変色もしていきますが、陶器のお皿はほとんど変わらないと思います。プラスチックは水分と共に汚れも吸収してしまうので変色していくのです。もちろん菌なども一緒に吸収します。金属にしても、日本の保険で使われている金属は戦後の貧しい時代に『代用合金』として使われて、今もそのままそれが使われています。正直に言いますとあまり身体に良くないものです。
戦後から今までそんなに騒がれてこなかったから大丈夫でしょ…という考え方もありますが、何十年も身体の調子が悪かった人が、歯の金属を外してみたら体調が良くなって調べてみたらアレルギーだったという事例もあるように、みなさんご存じでないから気付いていないという事があるのではないかと思います。
前置きが長くなりましたね…それでは製作工程を見ていきましょう。
まずは形作り(形成)です。保険では値段が決められているので使える時間に限りがありますが、保険外の治療では理想の形まで保険の治療で使う時間の倍以上の時間をかけて作り上げていきます。
形作りをした後は仮の歯が入ります。この写真実は仮の歯です。院内技工だからこそ精密で綺麗な仮の歯を入れる事が出来ます。実は仮の歯の期間は非常に重要です。仮の歯を何回も修正し、患者さんと相談しながら理想的な形を作り上げていき、歯肉に異常が発生しないかなど仮に試していきます。非常に重要なのに、保険ではこの値段は存在しません。再診料に込み(500円位)という何とも歯科医院泣かせのシステムになっています。自費診療では仮の歯といえどもきちんと料金を頂き、じっくり時間をかけて治療をしていく事が出来ます。
次に型どり(印象)です。こちらも保険の決められたピンクの材料(寒天・アルジネート)ではなく、より精密に型が採れるシリコンを使います。なかなか外れなくなるほどピタッと密着した精密な型を採る事が出来ます。
次は色合わせ(シェード)です。当クリニックでは、技工士が直接患者さんの口の中を拝見し、一緒に鏡を見て、根元の色や明るさから先の透明感の出し方や隣の歯などとの関係を患者さんと相談しながら細かく決めていきます。保険のプラスチックは十数色の決められた色で簡単なグラデーションになりますが、オールセラミックの材料はそれだけで50種類以上の色があり、それを細かく混ぜていく事により無限に患者さんの歯に近づけていく事が出来ます。
そして作成に入ります。まずは芯となる部分ですが、こちらは鹿児島や菊陽町にあります大きな技工所に協力してもらい作ります。精密に採った型で作った模型に何千万円もする機械で削って貰った精密な芯を作ってもらいます。当クリニックで何千万ものマシンを買ってしまうと元が取れないので、ここは専門の技工所に任せます。実は模型の石膏も保険用のものと保険外のものでは硬さなど違うのもが使われます。
出来上がってきた芯に下準備をし、何回か焼き上げてから、セラミックの材料の粉を少しずつ色を混ぜて層によって変えながら筆で盛り上げていきます。
やっては修正を繰り返して何時間もかけて1本の歯を盛り上げます。
焼くと縮みます。これはまだ内側の層です。だいぶ歯の色や形になってきました。
表面の層を盛り足して焼き上げ、削って形を整え、研磨すると出来上がりました。焼き上げても巣が入っていたり、色が微妙にずれていたりでやり直したりします。ステイン法といって、焼きあがったものに色を付ける事もあります。
治療前が左で、治療後は右の写真です。
どうですか??
ご自分の歯と自然にマッチしていますよね。
保険外はなぜこんなに高いんだ??と思われる方
これだけの手間暇で納得いただけますか??
見えない所でまだまだ先生の日々の勉強による技術力・技工士さんの日々の勉強による技術力、他のスタッフの協力などなどすべてが詰まって出来上がっています。
長々と付き合って頂きありがとうございます。
でも、裏側を見るのもなかなか面白いですよね(*^^*)
では、また
2020年1月20日 (月)
熊本県熊本市東区桜木にあります歯医者、せき歯科クリニックから事務長です!(^^)!
さて前回の私の投稿から始まった『院内技工シリーズ』ですが、技工物を作るにあたって重要な事がありますので、ちょっと戻って『パートゼロ』としてご案内したいと思います。
こちらは私の口の中の写真です。例えば上の一番前の前歯が虫歯で2本被せ物を作らなくてはいけなくなったとして、作る時にまず初めに一番重要な事は何だと思いますか??
前歯の形でしょうか??
色でしょうか??
中心を揃えてつくる事でしょうか??
下の歯とのかみ合わせでしょうか??
補綴物を作る時は家の建築によく似ています。
家を建てる時、形や間取り、色、快適性など色々こだわりがあると思います。
しかし一番重要な事は土地選びです!!
いくらお城のように綺麗で大きく住み心地も快適な家を建てたとしても、沼の上にはみなさん家を建てないと思います。
なぜなら、せっかく建てた家がすぐに傾いたり、場合によっては倒壊するからです。
もし、家を建てようとしている自分の土地が良くないと分かったら、まず土地改良をするか他の土地を探すはずです。
歯も同じです。
歯の土地にあたるものは、歯茎です。歯茎と言っても歯肉の下にある歯槽骨も含めてです。
歯周病になってしまうと、歯肉は腫れて歯を支えている歯槽骨は歯周病菌の影響で溶けてしまいます。そして歯はグラグラしてきて最終的に抜けてしまうのです。
そう、初めの『一番重要な事』の答えは『歯茎の健康』です。
もう一度見てみましょう。歯茎はピンク色で引き締まっています。当クリニックではこのような状態で初めて補綴物を作っていきます。
それにより、より長く安定したお口の中の健康を手に入れる事が出来るのです。
歯周病は歯の汚れ、歯石が付いている事により進行します。石と書いて歯石ですがその中身は食べ物のカスと唾液が固まり、星の数ほどの菌が存在しています。その菌が出す成分によって骨が溶けていってしまうのです。しかも歯茎の腫れ以外に痛みなどはなく気付かないうちに進行していってしまいます。
歯周病の予防は歯の汚れを取る事…
簡単なようで難しいですよね…
自分の口の中は鏡を使わないと見えません、少し角度を変えようとしても、ん~なかなか見えない…
だから、歯医者さんに行って定期的に見えない所の歯石をとってもらう事が必要なんです。
さて、忘れてました補綴物を作る時でしたね。
正直何十年もほったらかしにされてきた方のお口の中は歯周病でひどい事になっています。
時には歯茎を切開して中の歯石を取らなければならない方も、もう手遅れで歯を抜かないといけない方もいらっしゃいます。
(手遅れの歯をそのままにしておくと、他の歯にも悪い影響を与えてしまうので手遅れの歯は残念ながら抜かないといけません)
でも、そうしてコツコツ歯茎(土地)の状態をよくする事によって素晴らしい長持ちする安心して嚙める歯(家)は上に作ることができるのです。
歯周病治療を行わないなら治療は早く終わりますし、病院としてもどんどん補綴物を入れた方が利益が上がります。
しかし、長く安定したお口の健康の為には、その前の『歯茎の健康』が非常に大事なのです。
なかなか治療が進んでいないような気がして大変ですが、一緒にコツコツ頑張りましょう(*^^*)
今回は院内技工に入る前の歯周病治療を『院内技工パートゼロ』としてご案内しました。
2019年12月11日 (水)
熊本県熊本市東区桜木にある歯医者『せき歯科クリニック』からです。
改めましてこんにちは。
事務長の関直樹です。
みなさんは『院内技工』という言葉をご存知ですか??
虫歯が大きかったら詰め物や被せ物をしたり、歯周病などで歯を失うと入れ歯やインプラントを入れたり、型撮りをしてから新しい歯が出来上がって来る事があると思います。
その新しい歯を作るのが『歯科技工士』で歯科医院に歯科技工士が在中して新しい歯を作っているのが『院内技工』です。
当クリニックは開業当時から院内技工にこだわっています。
当クリニックが院内技工にこだわるのには理由があります。
それは、『品質の良いものを作りたい』というのと、『迅速に作ったり修理したり対応できるようにしたい』という理由です。
院内技工ではない所では院外技工になります。
文字通り外注です。
実は外注には少し不安な点もあります。
⓵大きな技工所だと誰が当クリニックの歯を作ったのかによって技術にばらつきがある時がある。
⓶個人の技工所だと、忙しい時期かそうでない時期かで技術にばらつきがある時がある。
⓷孫請けに中国など極安の海外へ出されても気付きにくい。
⓸極安の材料を使われても気付きにくい。
⓹新しい歯の色や形の細かな打ち合わせができにくい。
⓺新しい歯の当日の修正や、壊れた入れ歯の当日の修理が困難な時がある。
⓻制作日数に送る日と受け取る日が余計にかかってしまう。
などがあります。
この様な理由から、当クリニックでは『院内技工』にこだわっています。
保険外の治療では、仮の歯の期間を設けて形の修正が必要であれば何度も繰り返し、最終的に色の打ち合わせをして、理想的な材料で、研修会や日々の経験で確かな技術の研鑽を積んだ当クリニック専門の歯科技工士が院内で製作しています。
なかなか日の目を見ない技工室ですが、これから私の回では院内技工シリーズとして、たくさんの情報を発信していけたらと思いますのでよろしくお願い致します。
みなさんご存知ではないですが、歯科の治療に歯科技工士の技術はすごい重要なんです。
たまに、『ここは技工士が上手と聞いたから…』と言って来られる患者さんもおられるんですよ。